たねト 【芝フ調】 気配 子猫の毛玉色 しっぽを振るそよ風 朱に光る縁側から 土の香りたゆたう小唄 添野を去る 夏のみどりこ ほっと一息 大樹の下 珈琲みたいな名残を浸す ぼくはまだ 夏目に這うて 死に蛍の翔を拾うている 秋 のような気配に 獸を宥めながら 光雲に埋まる午後 ああなんという 栗のような日差しだ 麦生の沙門の やわらかな木陰は まるできみの後ろ姿のようで 風の撫子は靡く髪のようで さらさらさら 影法師を巻いていく 秋 きみのような気配 咳払いひとつ流れる 9/25^12:06[編集] EZ CA002 219.125.148.46 [レスをする] [最新順][古い順] たね遊歩 「夢鏡」 色づくもの こころというはるかな ねえ 何を泳がせ どこへ吹く春かな 風 ももいろ、 対峙する時を透かして 揺れる ただゆれてはるかな 春かな 夢鏡の突端 4/1^21:53[編集] サPC Mozilla 182.250.246.10 たね遊歩 「空耳のうた」 はんなりと 空耳を逸らして 待っていた 冬の舌をたらした あの吹き溜まりの丘 風がまっ白な 毛並みをうちつけている 明雲を あをい常念が跳んだ らんらんと 次元は神髄をかもして きらめきを恋う 耳のふもと うるおう尻尾をくゆらせる まるで 湧きあがるうさぎだな よろこび、 のような毛玉が やわらかに野末を匂わせる みどりの光媒をよぎり 駆けぬける早熟 四股に響いてくるぜ 風が遠くおれを誘う 空耳のうた この踊れる抽象こそ おれに歩みをもたらせる ももいろが あまく散りまう まるい女の線のような 花弁の情感は 上目づかいに満ちて たいようの唇は そっと頬をよせ そんな こそばゆい 耳たぶの裏を嗅ぎ おれというけものが 疾走った 春 うさぎのいる方角 メルヘンのうつろで あをぐ恍惚 4/14^21:47[編集] EZ CA002 111.86.142.133 たね遊歩 照明 あなたはゆっくりと 花紋あるせせらぎに向かう 盲目の明度です 黒い群は延び 焦操の弧線はゆらぐ 重い日暮れを背負う 灯らぬ街のロゴスを もう哀しまないで あなたの俯いた瞳 その宿命は夕陽のような 火に焼けた可憐です つつましやかに 燃え出ようとする胸の焔は 空いちめんの夕焼けに似て せつない青火 その翳りの沈め方を あなたは学んでいるのです 覚悟を透かし 影を立たせた古時計を巻いて 眠れる獸のぬくもりを たぎる血流のような空力を もう残照に余すことなく ほら 修羅の面が暮れるよ 昇るを映す ポインセチアの火 向こうの月光は ふくよかに輝く頬のように 2/19^11:11[編集] EZ CA002 111.86.142.135 たね 眼底飛行(短歌) 朱をささやき寂を包む そんなこおろぎの心を拾はむか うつむいても栗まんじゅうひとつぶんほくほくとしてみたり きみの流星の長い髪まばゆく地をひいてレモンの谷 すきま風から発ちましよう感傷の列車を降りたなら きみの顔文字に昏れるどうやら季語があるらしい 枯れ葉帽子の一礼に深々と翳りなくしづめていく実相を想う はるかなる窓を開けろ途方もない藍に途方にくれて 11/28^23:02[編集] EZ CA002 111.86.142.141 たね遊歩 星雲 夜空が醗酵している 漆黒が香る 紫が匂う星辰 まるで 吹きかかる吐息のよう やさしい吸盤は この身を包み くすぶる夜を隠した それは ワインの絶えた葡萄の夜 仄かに微笑が光る 眩暈に満ちた磁場 ほろりと酔態の宙へ誘ざなう 潤んだ瞳の吸引力 きみの星雲が呼んでいる 息を潜め 虚無がこぼれるその前に 官能の星を俺は撃つ 11/12^22:57[編集] EZ CA002 111.86.142.133 たね 沐浴 太陽が滴る 黒点のほとり 暗礁の尾 それらの枝を折る せつない、 という直射に耐えながら 淡い記憶 褐色の日が煙る晩夏 影なきふかい想いの波形が、 ひとかけらの虹を諳んじて、 からからと胸の映写機を廻します 僕はきみの 蜜のかげを植えようか あまい言の葉は 草むらのあいだ (やがて木洩れに生える 通奏高音) 背面鏡を覗けば ひそやかに疼く青空 その擬態を呑み込む 影を拭うものを きららとした自問でさざめいて 剥離した陽を 白い時計を やさしい森の暗喩で寄り添い 風を模し 花を散らした哀しみに 風鈴を鳴らそう もう一度 てのなるほうへ気化する 流した汗、 そしてなみだ、 太陽が匂うシャツは まだまぶしい 9/30^11:46[編集] EZ CA002 111.86.142.142 たね遊歩 「春雨混沌」 渇いた街に 空白を奏でる 雨が降ってきた かなしみ せつなさ 人々の気泡を呑む水滴 ぽつりぽつりと 秘密を打ち明ける 雨は蒼い意味を黙読している 聴こえますか その先 花を降らせる管楽 深緑をうめつくす エーデルワイス 誰が蒔いた真水か 天を喰らう田園の (なつかしい匂いの全景) きっと天井裏では 雲形の手毬をちぎる天使が さらさらあそぶものだから 明滅にながされるまま 靴を濡れつくすわたしは 混沌に降りる花を 信じていよう おどるくちぶえ 鼻歌を忘れたわたし 春雨はいつも かりそめに濡れた物語 行き止まりの橋を渡る 夢こぶし かたちもなく 溺れていく泥のように 大海に消える泡のように 春雨混沌 虚空に濡れた この街とわたしに 蒼い意味が降ればいい 4/17^22:05[編集] EZ CA002 111.86.142.141 たね遊歩 カクテルライト 花街の電塔 まばゆい旋律を放つ カクテルライトの 中心点 ひかりの配列を 踏みゆくごと 浮かび上がってゆく ひとつのシャドウ わたしは 哀れみの回転木馬を 回っていました ここには みえないピアノがあり 慈しみの鍵盤で 明星を奏でられるなら 電飾の梢のモザイクは 金貨に瞬き 蒼白の夜は星のかたちに 見えるでしょう 電球の瞳 寄り添う光の束 そっとグラスに 注がれるやさしい背後 わたしは夢幻の中で 泣いてしまいました すると 電球のひとつは するりとうねり それは月になり 君の瞳になりました 2/14^21:11[編集] EZ CA002 111.86.142.140 たね遊歩 カクテール ここは よく冷えた微光だな 怠情に濡れ 氷の星を含みあう 液体の宇宙にまどろむ グラスの夜底 さびしい表面張力に 星を浮かべ 無償の夢 その最後の一滴に きみと真っ暗に煌めく 酔生夢死 氷の指を鳴らし 不実の夜を注ぐ 色硝子の浸透に溺れ 見つめあう星間 なあ 冷たいゴブレットに 星の涯を澄ましたら 瞳 その艶のある 銀河をおくれ ああ星がまわる 星がまわるよ 血の通う冥府 きみの月の香り迫る 瞳経由 直情が 微炭酸にはじけ 氷が溶ける 氷が溶けるほど 互いの吐息星雲を重ねたら きららかに漆黒は 身をくゆらす 11/8^20:24[編集] EZ CA002 111.86.142.133 たね遊歩 「喜望峰」 時間が 空間の喪に伏せ 心臓の細道を渡った 鼓動が重く垂れ 骨のフルート震えた日 ああ いまある恩典が沁みる だからこそ いまあるをひそやかに 讃え 生きること その鏡面を覗く (わたしはあなた、 あなたはわたしであり、 おのおの連なる一つの数珠だから) 名もなき慈を どうぞ これ賜物の姿として彷徨い あの喜望峰の感嘆まで 追い風吹かせ あなたを写してみたくて わたしは共々に助け合うあすの愉快を、切願の表す微風で想う 草色が蒼く途上を満たす それはきっと 未来へ鳴りゆく その かかる響きを 聴こうでないか (*震災に寄せて) 5/16^12:52[編集] EZ CA002 111.86.142.141 たね遊歩 ひめひばり きみは昏睡に囀る 小さな夢のくちばし 陰をついばみ光を拾うている 深夜の結露が 重くしめり 天窓が つぅー、と 憂いに浸す漆黒さえも きみは深い眠りの丘で 傷ついた翅を濾過していくだろう もう 泣いた方角には飛ばない 目覚めが 彩となるうなじが 羽音を述べて 次元の毛穴は うすあかりをこぼし 夜更けの体積をすり抜けた淋しさは はちきれそうな空を吐く あまい あまいカラメルの陽 光線のくびれを 粘膜に隠したシュールは 遮光を抱いたまま ふぅー、と 息を摘む香が 胸の脂気はらう 風を凪いだラピュタの寝床 きみは ゆっくり眼をひらいた しっとりとした色然 寝返りをうつひめひばり その いじらしいあかるみに 渡る逢瀬に朝が来た 5/10^08:21[編集] EZ CA002 111.86.142.134 たね遊歩 らいおん うす陽をあび 白昼を膨らます峰々 けものは晴れ 冬の残丘爪弾く空線 野生の視線が眩しいか 匂うひかり 生きている雲の肉塊 遠吠える日差しは 乾いた骨色ひるがえす まどろむうちに 走るがいい 美しい観念を獲物に ふくよかな鬣を靡かせ 不敵を食い散らして 群青平原 百獣の瞳は 象牙の道をひらく 花王の獸毛やわらかに 空のひびから らいおんが昇った 春、 きんいろ 錯乱反射のサファリだ 4/13^03:13[編集] EZ CA002 111.86.142.137 たね 風見鶏 玻璃色 うすい時計回り 平凡を吐き うわの空を廻している 黒鳥一羽 からからと金属音 つややかな暖にもつれ 色彩の巣に宿りゆく 晴天 ぼくは 枯れ木を発てぬ 想いでばかり鳥 痛点に囀る ポエジイの空谷で ミルクの骨を拾うている 陽だまり乞う うすい時計回り 蒼き旗竿に情けは揺れ ささやかに金貨を鳴らしたら なあ何処へ飛ぼうか 風見鶏 2/19^14:40[編集] EZ CA002 111.86.142.136 たね ゆきんこ きみの小枝の袖が 雪を振り落として はた、と 但しこまかい震えを伝えます 景色は 白さの倒木を飾り 花嫁衣装のような ふわり、とした 純白のドレスで装う 凍え きみの 手拭いのやさしさ 不意に忘却の丘に噴いて 氷の角を尖らせた今でさえ 寒暖計を昇っていく ねえ 対立するすべてを 冬と名づけ それらを どうぞあたりいちめん 粉雪にして 冷たいスパンコール その煌めきの中 ぼくは北極星を見つける 1/14^09:22[編集] EZ CA002 111.86.142.135 たね Harley! Harley! さあ旅に出ようぜ 吠えること 排気に隠したマフラー 嘆きを制御している 片肺のトルク ならば灰色を逃がし 窓を開けた朝のように Harley! 太陽のぬくもりに紛れ 心臓を刺す 吹きっさらしの風 いつかの香りに 彩られたいのなら 蒼穹に触れる速度で やすらぎ、という 吹き乱れ去るを聴け 青空を全開 爆発を呼ぶ風の粒 豹のように地表に空に よどみない一点の素描を描いたら おおHarley! この瞬間の訪れ 俺の青い機関を廻す晴れ 10/12^20:15[編集] EZ CA002 219.125.148.23 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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